Saturday, 16 January 2021

" How To See Without Camera" - Dorothea Lange


Dorothea Lange in Texas, ca 1935, Paul Taylor (1895-1984)
 
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"How to see without camera" 「カメラなしで世界を見る術(すべ)」と、ドロシア・ラングは言った。
それは多分、幼い子供と、老い衰えた老人たち、そして、精神や知能に重い障害を持った人たちがあたりまえにしていることだ。
 
美しい風景を前にカメラを取り出さずにいられる精神の高貴さ。
それを「高貴」といわずになんと言うのか?
 
夜、バスに乗っていると、横に座った人の手の中のスマートフォンの画面が明るく光る。
映される画像は鮮明である。けれどもそれは如何に美しい絵であり、写真であっても、結局は束の間「消費」されるだけの泡沫(うたかた)の情報に過ぎない。
 
ポール・オースターの原作を映画化した『スモーク』という映画で、ニューヨークの町の片隅のタバコ屋の主人であるハーヴェイ・カイテルは、何年も、何十年も、店の前の同じ場所で、同じ通りの写真を撮り続けている。客のひとり、ウィリアム・ハートがアルバムを見せてもらうが、パラパラと、さっさとめくってゆく。苦笑した主人は、「もっとゆっくり見なくちゃ」
 「だって、どれも同じだ」
「ゆっくり見れば、違いも、味わいも分かってくる」

これなどは、「カメラを通して世界を見る」ひとつの例だろう。

急速に普及した簡易カメラ、人類はまだそれを使いこなせるほど利口ではないようだ。




 
 
 

 

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