Wednesday 18 November 2015

こんな夢を見た (月の曳航 ・Tsuki no eikou)


ロープの端を三日月にしっかりと結わえ付けて
小さなボートで夜の海をただようわたしは
釣り糸を海に投げこむ

三日月とボートをつないだロープはまっすぐに空へむかって伸びているが、ひょっとすると月は手を伸ばせば触れられるかとも見える
水面で身じろぐ釣り糸は、波の小さな手に引かれてやはりまっすぐに海の中へ伸びている

月に引かれているのだろうか 海に引かれているのだろか

浜辺でわたしの青い犬が月に向かっておーんと吠えると
月は次第に満ちてゆき、つないだロープがはらりと落ちる

青い犬がしきりにほえるので
わたしはロープと釣り糸を引き上げ

四いろの巻貝をつなぎ合わせて作った「艪」を漕いで
子供たちが作ったのでも、潮風がつくったのでもなさそうな白い砂のピラミッドがたち並ぶ浜へ還っていった

夜の空にはサソリと、天秤をささげた娘と
三角形の紙を逆さに2枚重ねたような星たちが浮かんでいた

巻貝たちは波の下でなにを聴いているのかしらん?

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